週刊誌コラム

週刊新潮「タワークレーン」

国際平和の研究センター国連大学ビル

 ピラミッドは人類が作りだした記念碑的な建造物である。ギザにある三大ピラミッドのうち最大のものであるクフ王のピラミッドは基底部の一辺の長さが二百二十メートル、高さが百四十七メートルに達する。東京・霞が関ビルの高さが同じ百四十七メートル、横浜・ランドマークタワーが二百九十六メートル。いまから四千年以上前の建造物なのだから感嘆のほかない。

 古代エジプトの人たちがこの巨大なピラミッドを建設した目的はまだ明確にされていない。初期のピラミッドが階段状なので、王が死後に天にのぼって神になるための道だったという説もある。中米のマヤのピラミッド、インドネシアのボロブドール遺跡など世界各地に似たような建造物が散在するのも興味深いが、パリ・ルーブル美術館のガラスのピラミッドのように現代建築の中にもしばしば再生する魅惑的な存在である。

 東京・青山通りに、青山学院大学と向かい合って建設された国連大学ビル(渋谷区神宮前五丁目)が階段状ピラミッドという特徴的な姿で目を引いている。

 学生たちの集まる青山学院のキャンバスとは対照的に、国連大学には通学生の姿がない。これは国際社会が直面する世界的な課題を研究し、その知識を普及させようという研究・研修センターを目指しているためで、三百人を収容し八か国語の同時通訳ができる国際会議場、中小会議室、研修施設、図書館などの整備はあるが、通常の大学とは違った雰囲気を見せている。

 国連大学の所在地は、幕末の大名屋敷が明治に入って北海道開発のための開拓使官園となり、明治末期からは東京市電の青山車庫と表情を変えたところ。世界平和の研究センターとして、東京都が国連に無償で貸与した。ビルは丹下健三の設計で、平成四年に完成している。

(掲載号:04月12日号)