週刊誌コラム

週刊新潮「タワークレーン」

山手線の上を地下鉄が行く渋谷の偉観

 まず、簡単なクイズ。東京の地下鉄駅のなかで、いちばん深い駅は?いちばん高いところにある駅は?

 帝都高速度交通営団の広報課にきくと、いちばん深いのは国会議事堂前駅(千代田線)で地下37.9メートル、つぎが後楽園駅(南北線)で37.5メートル。また、いちばん高い駅は北千住駅(日比谷線)で地上14.4メートル、つぎが渋谷駅で12.1メートルだという。一方、都営地下鉄線ではいちばん深い駅が六本木駅(大江戸線)で地下42.1メートル、いちばん高い駅が高島平駅(三田線)で地上9.1メートルだそうである。(平成十三年六月現在)

 東京都内には地下鉄路線が増え、新路線が旧路線よりさらに深いところを通るため、昨年十二月に開通した都営大江戸線環状部の六本木駅がいちばん深い駅の記録を更新している。むろん、高い駅がつくられたのにも理由がある。北千住駅は日比谷線が東武伊勢崎線に乗り入れるため地上に出たのである。

 とすれば、銀座線の渋谷駅ホームは、なぜ地上12.1メートルの高いところにあるのか。
答えは実に簡単で、これも当初はそのまま西へ伸ばす計画があったためである。
銀座線渋谷〜新橋間は東急の創業者・五島慶太が建設を推進した。これは昭和十四年(一九三九)一月に開通したが、五島のねらいは東急のホームグラウンドへの乗り入れだった。種村直樹著『新・地下鉄ものがたり』(日本交通公社)によると、

<山の手では初めての地下鉄、それがビル(玉電ビル)の三階から発着するのだから、たちまち評判になった>。

 当時の玉電ビルは改築されて現在は東急東横店ビルだが、いまも、その三階に入る銀座線、二階部分を横切るJR山手線、東急東横線、さらに地下深くの半蔵門線と、立体交差は偉観である。

(掲載号:08月02日号)