週刊誌コラム
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水琴窟 復元の 経緯は
地中に瓶を埋め、その中に水滴を落として地上に漏れてくる琴のようなかすかな音を楽しむ装置、品川歴史館の水琴窟は復元当時、大きな話題を呼んだものだった。同館発行の 『品川歴史館紀要』 第一号に、復元の経緯が詳しく記されている。
それによると、歴史館建設関係者に水琴窟存在の情報が入ったのは、同館の前身である吉田記念館を利用したことのある人からだった。 「庭園内に水の音を楽しむものがあるはず」 というもので、庭を調べたところ、二つの流れの一方の片隅に、落ち葉や土に埋もれていたものの周りを玉石で囲まれた小さな穴が発見されたという。
これは、江戸時代に考案された日本庭園独特の装置・水琴窟に違いないということで文献を調べた。その結果、昭和55年10月号の造園雑誌 『庭』 に平山勝蔵東京農大教授のそれに関する論文があって、その中で吉田記念館の水琴窟が紹介されていた。
しかも当時、吉田記念館以外で水琴窟の存在が確認されていたのは、国の名勝に指定されている鳥取県東伯郡羽合町の尾崎氏庭園だけだった。発見されたとき、水源になるつくばいもなく瓶の中も落ち葉や砂が溜まって機能しなくなっていたが、貴重なものであることが分かった。
このため、昭和56年から水琴窟の調査、研究と共に復元が図られた。鳥取県のものの音録音して、それが復元されたものと極めて似ていることも確認された。歴史館の水琴窟復元は、こうして全国の同様の装置の発見、復元の先駆けになった。
ただ残念なのは、歴史館が道路に囲まれているので、かすかな音が車の騒音でかき消されがちなことである。このためロビーに水琴窟の音の録音テープを内臓した模型が設置されている。
(掲載号:01月13日号)
