週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
品川が わかる 歴史館
大井の総鎮守鹿嶋神社の少し北寄りに、やはり池上通りに面して品川歴史館が建っている。品川区の郷土資料の保存と活用、さらに区民文化の向上を目指して昭和60年に開館して施設である。
1階の常設展示場では、品川の歴史が各種の遺品や記録などで勉強できる。品川宿の町並みも立体的な模型で再現されていて、東海道最初の宿場の繁盛振りがうかがえる。
別室には、幕末の志士高杉晋作が愛用した三味線が展示されている。普通より小振りな道中三味線、つまり旅行用という珍品で、棹が細かく分解できる。ロビーのパソコンでは、所蔵の浮世絵を検索できる楽しみもある。
2階には、この地域とは切っても切れない縁にある「モーズ博士と大森貝塚」のコーナーが設けられている。既に紹介した大森貝塚碑が建つ遺跡庭園と、もう一つの大森貝墟碑は、歴史館前の池上通りを少し南、JR大森駅方面へ向かえばすぐ見ることができる。
庭や茶室も一見の価値がある。ここは、昭和初期に建てられた安田財閥の初代安田善次郎の甥善助氏の邸宅だった。その後、吉田秀雄電通社長邸から財団法人吉田記念館となり電通が管理していた。
歴史館になってからも茶室の松滴庵と庭は昔のもので、庭の一角には水琴窟が復元されている。これは、池中に埋めた瓶に水滴を落として琴のような音を楽しむ日本庭園独特の優雅な装置である。
さらに貝塚の存在でわかるように、この辺りは古代から開けていた土地で、歴史館建設中に古墳時代から奈良時代の集落跡が発見され、庭園内に住居跡が復元されている。
この他、図書館資料室もあって、品川を中心とした歴史民族関係の図書を収集、公開していて、郷土史に興味のある人には見逃せない施設といえる。
(掲載号:12月30日・01月06日号)
