週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

発電所除却工事を作業所長の共通項

 一九五七年から稼動を続け、京葉工業地帯のシンボルだった旧千葉火力発電所(千葉市)がその歴史を閉じた。新発電所へのバトンタッチも済んだ今、大成建設によって旧発電所の除却工事が行なわれている。

「解体工事では工程の最初の頃が最も関わる人数が多いんです。ピーク時で四百人ほどいました。私は今回、発電所の集合煙突を解体しましたが、以前NTTドコモの鉄塔を建てる工事もしたことがあるんですよ(笑)」

 と語る近内滋所長は生まれも育ちも千葉。一九七五年に大成建設に入社後は広島支店、北信越支店を経て、海外事業部のサウジアラビアに赴任。二年間石油プラントの建設に携わった後、東京支店、そして故郷・千葉に帰ってきた。

「工業地帯を抱える入社当時の広島支店の上司の方々は非常に厳しく、朝早くから毎日夜遅くまで働くのが当たり前。でも今思えば、広島時代に鍛えられたことが、その後の私の支えとなりました。千葉に来てからもホテル建設など忙しい工事が続き、土曜日、日曜日が続けて休めるのはこの現場がはじめて(笑)」

 まるで高度経済成長期の千葉火力発電所並みの働きぶり。そしてその経験が、今社員を牽引する力となっているのである。

「部下になった社員達は私のことを口うるさい所長だと思っているでしょうね(笑)。デキると思う社員ほど、辛辣な言葉で苦言を呈します。厳しい上司と思われているかもしれませんが、彼らも今の私の年齢になればきっとわかってくれるはずだと信じています」

 解体をリサイクルに げる今回の発電所除却工事。そして後進への厳しい指導で大成建設の更なる発展の礎を築こうとする近内所長。両者に"未来への飛躍"という共通項を見たような気がした。

(掲載号:01月03・10日合併号)