週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

建設大臣に表彰された"掘り上げる"技術

 神奈川県横浜市のJR関内駅近くでは、現在、国道十六号線の下に車を二百台収容できる伊勢佐木町地下駐車場(仮称)の建設が進められている。

 地下施設の工事では、まず現場をぐるりと囲むような形で連続したコンクリートの壁で仮設構造物をつくることから始まる。仮設物とは言え、掘削工事中の地下水流入防止や土砂の崩落を受けずに施設本体の構築を安全に行うための重要な工事だ。だが、今回の建設予定地にはNTTの通信回線など移設不可能な地中埋設管が敷設されており、その部分では地上からコンクリートの壁をつくるための溝を施工することができなかった。

 そこで考案されたのが最新の掘削機を使ったSATT(拡翼連壁)工法だ。

 まず埋設物の脇に溝を掘り、ガイドレールとなる鋼材を入れる。下部に二本の太く細長いドリルカッタを持った掘削機をガイドに沿わせながらクレーンで溝の中へ下ろす。埋設物よりも深い所まで来たら、今度はガイドに対して九十度の位置までドリルカッタを回転させながら立ち上げる。

 そうすれば、埋設物のすぐ下までを扇の形に掘り上げることができ、そのままドリルカッタをレールに沿わせ掘削機を下げていけば、望みの深さまで溝を掘り下げられる。後はコンクリートを流しこめば埋設物の直下にも連続したコンクリートの壁ができる訳だ。

 この技術を使った結果、従来工法に比べ工期を一カ月半から二カ月も短縮でき、大幅なコストダウンにも繋がったという。その価値の高さは、一九九九年の第一回建設技術開発賞の最優秀賞として建設大臣から表彰されたことからもわかる。

「でも、何より安全性が高まったことがうれしいんです」とこの技術の考案者の一人でもある大成建設の斉田作業所長は胸を張った。

(掲載号:02月01日号)