週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
都市土木工事の要はより良い人間関係作り
神奈川県横浜市のJR関内駅近くの国道十六号線の下で、現在、収容台数二百台の伊勢佐木町地下駐車場(仮称)の建設が進められている。
この現場では、埋設物を移設せずに山留め用の地中壁を地上から造ることができる「SATT(拡翼連壁工法)」という技術が開発され、一九九九年の第一回建設技術開発賞の最優秀賞として建設大臣から表彰された。その技術の考案者の一人である大成建設の斉田茂作業所長は、六七年の入社。この十五年ほどは、神奈川県内の「都市土木工事」一筋の生活だった。「都市土木工事の最大の魅力は、沿道に住む方々とお付き合いしながら仕事を進めてゆくことですね」と斉田作業所長は話す。
都市土木工事で常に課題となるのが、水道やガス、通信回線などの埋設物だ。
「もちろん資料は徹底的に検討しますが、結局、実際に掘ってみなければわからないんです」と語る斉田作業所長は、新しい現場に入るとまず最初に、その町に一番古くから住んでいる人を探して会うのだという。
「そんな方々からは、『あそこには昔、市電が走ってたから線路が埋まってる』などと、資料では得られなかった貴重な情報を教えてもらえたりするんです」
工事に対する理解を得るためにも周辺住民との密接なコミュニケーションを大切にしている斉田作業所長に「常に心掛けていることは何か?」と訊ねると、「できることはきっちりとやり、できないことは約束しないこと。特に、工事の時間帯や交通制限、騒音、振動関係など、相手にとって問題となるような事は真っ先に伝えるようにしています」
この話を聞いた時、彼のような・都市土木工事の達人・になるためには、相手の立場に立ち、誠意をもって人間関係を積み重ねていくことが大切なのだと思った。
(掲載号:02月08日号)
