週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
大阪と神戸の中間地点に新たな街が誕生する
兵庫県西宮市は商売繁盛の福の神「えべっさん(戎さん)」の通称で親しまれる西宮神社の門前町として栄え、江戸時代には酒造地として有名になった古くからの商業地である。
また、南には美しい鳴尾浜などが広がり、北は六甲山系の緑豊かな景観を望むというロケーションに加えて、商業都市・大阪と国際都市・神戸のほぼ中間地点という利便性もあり、居住地としての人気も高い。野球ファンには、甲子園球場やかつて阪急ブレーブスが本拠地とした西宮球場(現西宮スタジアム)があることでも知られる。
そんな産業・生活・アメニティなど、バラエティに富んだ西宮市のアクセス・ポイントとなるのが阪急・西宮北口駅だ。そこに隣接する形で、現在、新たな街づくりが進められている。 街は東棟・西棟の二つのビルを中心に構成される。両ビルの高層部には約三百世帯の住宅が設けられ、中層部に保健福祉センターや図書館などの公共公益施設、そして低層部には専門店や大型量販店からなる商業施設が入るなど、バランスの取れた独自の生活空間が生み出される予定だ。
平成十年に着工し、この四月にはいよいよグランドオープンを迎える。
この小さな街の誕生は、周辺地域にとって、単なる「地域産業の活性化」以上の意義を持っている。
今から六年前の一月十七日、西宮市は阪神・淡路大震災に見舞われた。西宮北口駅周辺の被害状況も著しく、とりわけ古い商店が立ち並ぶこの区域は、壊滅的な打撃を被ってしまった。
今回の再開発は、今なお深い傷跡を残す大震災の悪夢から立ち上がり、再びかつての活気と賑わいとを取り戻そうと努力してきた周辺住民にとって、やっと訪れた復興の兆しを象徴する出来事でもあった。
(掲載号:02月15日号)
