週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

流れの速い忠別川の大洪水を防ぐダム

 忠別川の流れは、北海道のほぼ中央、大雪山連峰の白雲岳の湧水から始まる。天人峡の渓谷を通り、上川地方の米どころ東川町、東神楽町を流れ、旭川市内で石狩川に合流する。

 平成六年、この忠別川で忠別ダムの建設が始められた。砂利や岩石を盛り上げて造るフィルダムとコンクリートダムを組み合わせた複合ダムだ。ダムの高さは八十六m、ダム湖面積三・七km2の複合ダムとしては日本最大となる。

 また砂れき層の中に鉄筋コンクリートの壁を造り、ダム本体の止水をする工法は、日本の大型ダムでは初めての試みとなる。

 「忠別」の語源はアイヌ 語の「チウ(波)」と「ペツ(川)」から成り、波立つ川を意味する。確かに、忠別川の流れは、所々で白い波頭を見せるほどに速い。 そして、この流れの速さが、幾度となく繰り返された洪水の原因でもあった。

 とくに昭和五十年八月と同五十六年八月、石狩川水系がかつてない大洪水に見舞われた時、忠別川の忠別ダムによる治水は、重要かつ緊急のものと考えられるようになったのである。

 十月末のある晴れ渡った日、建設現場に到着してまず驚いたのは、現場の規模の大きさだった。現場内には砕石場もあれば、コンクリート製造工場もあった。

 忠別ダムでは、フィルダムやコンクリートダムの材料として、約一一〇〇万m3もの砂利が必要となる。そのため、長さ十m、高さ五mもある90tダンプが何十台も駆け回って、砂利を運んでいた。その砂利の一部を、世界に二台しかない特別発注の巨大なバックホーが、人造池の水で豪快にすすぎ洗いをしていた。
 全てのスケールが桁違いだった……が、真の北海道らしさを感じさせたのは、この季節には欠かせない現場のある取り組みだった。

(掲載号:03月08日号)