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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

夏には冷やして、冬には温めるダム工事

 北海道の忠別ダムは、洪水に悩む石狩川水系の治水と、忠別および北空知地区の農地約二一四〇〇haの灌漑用水の補給などを目的に、平成六年から忠別川で建設されている。砂利や岩石を盛り上げて造るフィルダムとコンクリートダムを組み合わせた複合ダムとしては、日本最大のものとなる。

 この現場では、ダム部分にコンクリートを下ろし、ブルドーザーでならし、振動ローラで一mの厚さに締め固め、それを何層にも重ねていく、という「RCD工法」と呼ばれる技術が導入されている。この最新の工法で、今年も約五百人のスタッフが一丸となり工事を進めたが、それも十一月初旬までのことだという。

 冬になれば、雪と氷で作業ができなくなるからだ。
「冬場は氷点下十五度から三十度の世界。ですから、ほとんどの人が四月中旬までの半年間は 他の現場に移ることになります」と大成建設の上田勝幸総合所長は説明する。 だが、ただ漫然と冬を迎えるわけではない。「建設途中の現場を冬の厳しい寒さから守る」という大切な仕事が残っているからだ。

 冬が来れば地面から八十cm下の土や砂利までもが凍ってしまう。これが春になって溶けると、凍る前よりも全体が緩むことになる。

 そこで、現場には前もって一mほどの厚さに砂利を敷き詰めておく。つまり、砂利の布団をかけておくことで、地面から八十cmの砂利部分が凍っても、その下の工事部分は凍らせないですませることができるのだ。

「逆に気温が三十度まで上がる夏は、コンクリート用の骨材を低温に保つために、直射日光を遮ったり、水をかけたりするんですよ」と加藤忍作業所長は言う。

夏には水をかけて冷やし冬には布団をかけて温めてやる。建設中のダムはまるで大切に育てている生き物のようだった。

(掲載号:03月15日号)