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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

素直さと地道さとバランス感覚とやる気

 北海道のほぼ中央に位置する忠別ダムは、砂利や岩石を盛り上げて造るフィルダムとコンクリートダムを組み合わせたダムで、複合タイプとしては国内最大のものとなる。

 この忠別ダムがコンクリートダムとフィルダムの二つから構成されるように、 この現場は二人の優れたリーダーによって統制されている。

 コンクリートダム工事の指揮を執りながら、工事全体の進捗も統括する上田勝幸総合所長と、主にフィルダム工事の指揮を執る加藤忍作業所長である。

 上田所長は、一九六二年に入社した十八歳の頃から、ダム一筋三十八年の大成マンである。
「一生懸命働きさえすれば自由に、思ったように仕事ができる。そして、誰もが認めてくれる。だからたとえ赴任地が山奥でも、決して苦になりませんでした」と上田所長は笑う。

 一方、加藤所長は一九七四年に入社。
「ダム工事にはその時の最先端技術が採用されます。また、居住施設や道路、工場の建設など、土木工事の総合的な要素が全てあります。モノ作りをする人間にとって、これほど魅力的な現場はありませんよ」と加藤所長は熱く語った。  そこで「ダム造りに携わる人間として最も大切な資質は何か?」と尋ねると、上田所長は「素直さと地道さ」と答えた。「ダム工事の年数はとても長いから、ウソやハッタリは必ずばれるんです」

 そして、加藤所長は「バランス感覚とやる気」と答えた。「ダムは総合的なもの。それに後世に残るモノですから、後ろ向きの考えでは造れないんです」

この二つの答えは、以前の現場も含め、長年ともに働いて来て知り抜いたお互いの性格そのものを指しているかのように思えた。

(掲載号:03月22日号)