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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

青果に花が加わって卸売市場がリニューアル

「東京都世田谷区」といえば、まず閑静な住宅地をイメージする人も少なくないだろう。

 しかし、そんな世田谷区に都民の胃袋を支える巨大な卸売市場があることは、あまり知られていない。

 その市場とは、全国から集まってくる野菜や果物の流通の拠点となる青果市場「世田谷市場」だ。

 昭和四十七年に業務を始め、一日の取扱数量は二六五t(平成十一年)を誇っている。この三十年近い歴史を持つ市場が、いま、大きく生まれ変わろうとしている。

 現在、都内には十一の中央卸売市場がある。そのうち、切り花や鉢植えなどを扱う「花き部」があるのは四市場だけ。

 そこで、世田谷市場の既存の建築物の耐震補強と内外装のリニューアルを行うと同時に、都内で五番目と なる花き部を新たに世田谷市場内に併設するための工事が行われているのだ。

 平成十一年五月に着工し、今年三月に竣工する。

 ここには民営の五花き地方卸売市場が統合・収容される予定で、平成十三年度の開場を目指す。現時点で想定されている一日の取扱数量は百五十万六千本(平成十七年)で、大田市場に次ぐ二番目の規模となる。

 だが、この工事には一つの大きな課題があった。

 たとえリニューアルのための工事とはいえ、大切な青果市場の通常業務を止めることなどできない。

 つまり、これまで通り青果市場としての仕事を妨げることなく、しかも、できるだけ早く工事を済ませなければならない、という難題が与えられたのである。

 全国から送られてきた果物や野菜の箱の間を縫うように、竣工を間近に控えた現場へと足を踏み入れたのは、まだ寒さが身にしみる二月中旬の快晴の昼下がりだった。

(掲載号:03月29日号)