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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

コミュニケーションが最大の効果を上げる

 青果市場としての業務を妨げることなく、安全かつ迅速に、世田谷市場の花き部併設を含めたリニューアル工事を進める……そのために大成建設の小林敬明作業所長が心掛けたのは、現場スタッフはもちろん、市場で働く人たちとも「誠意あるコミュニケーションをとること」だったという。 これは、彼が一九七六年に大成建設に入社して以来、岐阜の県立多治見病院や東京の広尾ガーデンヒルズ、慈恵医大など数々の建設工事で積んだ経験から得られた哲学に基づいている。

 「現場ごとに社員が変わり、作業員も変わります。でも、安全面や工程面で全員が同じ考え方やルールを認識できなければ、工事は円滑に進みません。つまり一人ひとりにコミュニケーション能力が不可欠なんです」

 そう真摯に語っていた小林作業所長は、ふと表情を和らげ、「おかげさまで、ここでは私たちの誠意を認めていただけたらしく、市場で働く方々にはとてもよくしていただきましたよ」

 クリスマスの時期に、建物の屋根に工事で使用した何百もの電球を、電力も自家発電して、デコレーションしたというのも、彼流のコミュニケーションの一つなのかもしれない。

 「まるでクリスマスツリーみたいにきれいだったと、青果を運んできたドライバーさんや近隣の住民のみなさんにとても喜んでいただけた時には、こういう”遊び心”も大切なんだな、と勉強になりました」

 取材の後、隣接する砧公園へと足を向け、美術館の前まで来て驚いた。瀟洒な建築物の向こうに新設された建物が見える。壁にはツタをはわせるための網が張り巡らされていた。周囲の景観への配慮だ。

 春が来れば、美術館越しに見える空は新緑で飾られ、新生「世田谷市場」は花で埋もれていることだろう。

(掲載号:04月12日号)