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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

上向きに穴を掘る…!?常識を覆す最新技術

 今回の取材をするまで、トンネルというのは、てっきり下向きか、あるいは横に向って掘るものだと思っていた。けれど、その常識が覆されてしまった。

 大阪市阿倍野区の「万代〜阪南幹線下水管渠築造工事」の現場には、なんと、世界でも初めての技術となる「上向きシールド工法」が採用されている。

 つまり、トンネルを下から上に向って掘り上げているのだ。

 この地域一帯は以前から浸水の被害に悩まされていた。そこで、雨水を地下の調節池へと逃がす総延長約二キロのトンネルの建設が、二〇〇三年九月の竣工を目指して、一九九七年四月に着工された。

 今回掘り上げられる三本の立坑は、地上からこのトンネルに雨水を流入させる役割を果たす。

 しかし、なぜわざわざ上に向って掘り上げなければならなかったのだろうか?

 理由は立坑を掘る場所にあった。その場所とは、交通量が多く、しかも幅のかなり狭い庚申街道の真下にあたる。これまでのように上から掘り下げる方法だと、地上部の工事スペース確保のために、半年近くも片側一車線通行になり、渋滞は避けられず、近隣住民にも多大な迷惑がかかってしまう。

「この通行規制の期間をなんとか短くする方法はないか」と大阪市の担当者から相談を受けた時、大成建設から解決策として提案したのが、世界でも類を見ない掘り上げ式の最新トンネル工法だった。

 驚くべきことに、この方法を採用すれば、地上部の工事が通常の六分の一の約一カ月で済むという。

 新緑の美しい四月下旬、現場を目指して庚申街道沿いに歩いてみた。一車線も通行規制が行われていないにもかかわらず、たしかに、道路は車でいっぱいだった。

(掲載号:06月07日号)