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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

親子三代にわたって受け継がれた建設マン魂

 鳥取県の船上山ダム建設現場の事務所でまず目を引くのは、壁を飾る数々の着ぐるみ。地元赤碕町で行われる「船上山さくら祭り」の催し物の一つ「負上仮装大会」に参加して、四年連続で優勝した思い出の品だ。

 「去年からダム工事の関係でしばらく休みになり、正直ほっとしています。実は頼みの着ぐるみ師が転勤してしまったんですよ」と大成建設の小林聰所長。

 その着ぐるみ師とはなんと前所長だという。「仕事とともに、『月刊 船上山ダム』の編集も引き継ぎましたよ」と見せてくれたのは、工事の進捗状況や地元の人たちとの触れ合いが写真入りで報告された茶目っ気たっぷりの手作り新聞だった。

 この現場の三代目所長となる彼は、祖父も建設業、父も大成建設と、建設マンとしても三代目だという。「オヤジは怖かった……でも、小学二年の頃、オヤジに連れられて行ったダム現場の立坑下数十の現場で一生懸命働く人たちの姿と、初めて見た発破の感動はいまでも忘れられません」と語る小林所長も昭和五十年に大成建設に入社した。

 その後、東海・信越を中心に数々のダムを手掛けたが、父親とはあまり仕事の話をしなかったという。

「亡くなってからは時折夢の中に出てきて、仕事の話をしてたりするんです」

 今回初めて着工から竣工まで見届けられそうです……と感慨深く語るダム一筋の所長にダムならではの魅力を尋ねると、「他を知らないからなぁ」と考え込んでしまった。「では嫌いな所は?」と聞くと、間髪入れず「ないです!」と即答してくれた。係わったダムは完成後に必ず見に行くという。

「ひとりダムを眺めていると、気が付くとニヤリと笑っているんです」

 このニヤリこそが、建設マンの仕事の醍醐味なのかもしれない。

(掲載号:07月12日号)