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週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

重要文化財・自由学園明日館を次の世代に伝える

 東京都豊島区のJR池袋駅近くにある自由学園明日館。この明日館は、今年開校八十周年を迎える自由学園の校舎として、米国の高名な建築家、フランク・ロイド・ライトによって設計され、一九二一年に竣工した。

 自由学園の創始者は、羽仁もと子・羽仁吉一夫妻。もと子女史は、報知新聞社に勤めて日本最初の婦人記者となり、後に、吉一といっしょに一九〇三年に家庭雑誌「婦人之友」を創刊した。この雑誌を拠点にして家庭の近代化や社会改良の啓蒙活動を行い、教育についても「自由な個人の確立と、それらが協力することによる社会の構成」という理想の実現の場として、独特のカリキュラムをもつ自由学園をつくった。

 一九三四年に学園の本拠地が東京都久留米市へと移されてからは、「自由学園明日館」と名称を変え、工芸研究所として使用されるようになり、一九九七年五月には国の重要文化財指定を受けた。

 しかし近年、老朽化が目立ち始めたことから、一九九九年一月、保存修理工事が着工され、竣工は今年九月三〇日に予定されている。

 今回の工事を担当した大成建設とライトの間には、歴史的に深い関係がある。

 ライトが一九一五年に初来日したのは、帝国ホテルの改築工事を、同ホテル会長の大倉喜八郎に依頼されてのことだ。施工は大倉喜八郎が創業した大倉組土木部(現在の大成建設)が担当し、完成直後に来襲した関東大震災にも耐え、ライトの代表作として高い評価を得た。

 JR池袋駅を降り、しばらく歩くと、喧騒が止み、閑静な住宅街へと入ってゆく。やがて、いくつもの高層ビルを背景に、都会のオアシスのようなたたずまいで、大部分が平屋造りの端整な木造漆喰塗建築、明日館が現れた。

(掲載号:09月06日号)