週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
免震の最先端技術と瓦葺きの伝統技術
四層五階建ての天守閣様式を持ち、「現代の千葉城」として親しまれている千葉市立郷博物館。今年十二月下旬のリニューアルオープンを目指して免震工事が順調に進めらている。
「お城の形の建築物に免震工事を施すのは、国内初の試みです」と大成建設の津田誠一担当所長は言う。
一階の床下部分(石垣の中)の柱を切断し、ジャッキで支えながら三十二基の免震部材を挿入してゆく。
「二ミリ程度の狂いでも、全体が傾き、亀裂が入ります。工事中の地震力に対しても絶えず気を配るという、細心の注意が必要な工事でした」と若手では多くの免震工事を担当してきた一志秀樹工事主任は語る。
免震部材は、何層にも重ねた天然ゴムのバネ機能で揺れを弱め建物を元の位置に戻すタイプ、滑らせることの摩擦抵抗で地震エネルギーを吸収するタイプ、鋼鉄製のバネにより揺れを素早く収束させるタイプの三種類が併用されている。
「この三種併用型が、城郭のような特殊な構造物にはより効果的なんです」と耐震推進部副部長・野口憲一工学博士は分析する。
そしてこの現場では、「伝統」と「最新」が共存した。屋根瓦工事は昔ながらの技術、できる職人さんは全国でも数少ない。作業の責任者となったのは、甲賀由紀子工事係。「厳しい工程でしたから、職人さんを集めることから苦労しました。でも、ほんとうにいい仕事をしてくださいました。言葉でいえば簡単なことですが、遠方から呼び寄せ、この仕事のためだけに滞在してもらいましたから、安全で気持ちよい職場環境をつくることを大切にしました」と小麦色をした顔に爽やかな笑みを浮かべた。
最新技術から伝統技術まで、大成建設の総力を集めて「現代の千葉城」が蘇ろうとしている。
(掲載号:10月25日号)
