週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

横浜新開発に伴う高架線の地下化工事

 ランドマークタワーを中心にホテル、美術館、コンベンションセンター、ショッピングビル、テーマパークなどが並び、近未来の理想都市として活況を呈している横浜市のみなとみらい21地区。日本随一のインテリジェントシティの地下に、今新たな大動脈が流れようとしている。横浜駅からみなとみらい21地区を通り元町へ達する地下鉄みなとみらい21線(二〇〇四年春開業予定)である。この地下鉄は単なる市内交通ではなく、東急東横線との相互直通運転となるため、開通すれば都心からのアクセスも格段によくなることは明らかである。

 現在、新しい地下鉄と東急東横線の高架部分を結ぶにあたり、同線の東白楽〜横浜駅間を地下化する工事が進められている。車の往来が激しい幹線道路に囲まれた商業地であり、けっして広くない路地を入れば住宅が密集する都市のど真ん中でのトンネル工事。問題なのは用地がないことだ、というのは想像に難くない。それを端的に現しているのが、鉄道直下でのトンネル施工という選択である。電車の行き交う高架線の真下にトンネルを掘削するのだ。

 全長約二キロの地下化工事のうち、大成建設が手がけているのは第2工区の二百七十三メートル。マイケル・ジョンソンならおそらく三十秒程度で走り抜けてしまいそうな距離を、二〇〇〇年八月から二〇〇二年秋までかけてNATMという、山岳トンネルで多く採用されている工法によってトンネルを築き上げていく。

 きっとこの工事の現場では、緻密な作業が地道に進められているに違いない。テナントビルの中という、現場事務所のイメージとはかけ離れた一室で、目まぐるしく変化する社会の中での雑多な日常とは違う、壮大さや厳粛さを覗き見る予感に背筋が伸びた。

(掲載号:11月08日号)