週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
鉄道直下トンネルにNATMを適用
横浜市のみなとみらい21地区を通り、横浜駅と元町を繋ぐ地下鉄みなとみらい21線(二〇〇四年春開業予定)。この地下鉄と東急東横線を結ぶため、現在東白楽〜横浜駅間の地下化工事が行なわれている。
全長約二キロの地下化工事で大成建設が担当する第2工区は二百七十三メートルだ。施工法は約四十年前にオーストリアで開発され、主に山間部で採用されてきたNATM(山岳トンネル工法)。最近は各種補助工法や計測管理技術の進歩によって都市部でも適用されるようになったが、線路直下にトンネルを構築するケースは他に例を見ない日本初の試みである。
「地質が優れていたので、この工法が採用されました。地盤の変状に合わせ、メガネ型と双設型のトンネル断面を作ります。断面形状を自由に設計できるのもNATMの利点です」と臼井哲所長は言う。ひんやりと空気が湿った地下約二十メートルの現場で、一日平均一・五メートルのトンネルができてゆくのだ。「トンネルを掘る前に、地上から地下へ機械・材料・人などを行き来させるスペースとして、立坑というものを作るのですが、それは、既存の線路を工事桁で仮受けし、地中に建て込んだ土留壁の内部を掘り下げて構築します。約三年半かかりました。工事ができるのは電車が止まっている間のみで、一日に二時間二十分ぐらい。工事桁をかけ終わり、最初にその上を電車が通った時は本当に嬉しかった」鉄道直下での工事は時間との闘いなのだ。
「地盤変位には最も気を遣わなければなりません。十メートル間で七ミリのずれまで、管理しています。計測管理は二十四時間態勢で行なっています」
臼井所長のこの言葉が示す通り、精密さもまた欠かせないのである。
(掲載号:11月15日号)
