週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
二十年間、横浜を作り続けた縁の下の力持ち
開発が続く横浜市のみなとみらい21地区に、やがて新しい地下鉄、みなとみらい21線ができる(二〇〇四年春開業予定)。この地下鉄と東急東横線をつなぐため、今、東白楽〜横浜駅間の地下化工事が行なわれている。
全長約二キロの地下化工事の第2工区を任された大成建設の臼井哲所長は、一九八一年入社。横浜支店一筋の生え抜き社員として、工場基礎、港北ニュータウン、横浜市営地下鉄などまさに横浜の土台を築き上げてきた。
「私の仕事は縁の下の力持ちで、完成後は人目につきにくいものなんです。例えばマンホールの蓋だけだったりね(笑)」
と臼井所長はクールにかわすが、これは横浜人として二十年のキャリアが醸し出すさりげなさだろう。
工期は約八年と長期にわたる。臼井所長はこれまでにも工種は変われど、比較的ひとつの現場に長期間携わることが多かった。現場での地道な積み重ねが今回の実直で緻密な工事にも繋がっているのである。
「地下構内は周りから隔絶された世界ですが、周囲は多くの人の生活の場であることを忘れることはできません。電車利用者や住民が普段通りの生活を送れることが工事の絶対条件です」
気を配るのは近隣住民に対してだけではない。現場の各所に貼られた安全を喚起するはり紙に込められた願い。そして長い工期を抱える現場に不可欠な気分転換やメリハリを考えることを忘れないからこそ若手社員もついてくるのである。
「横浜への愛着も相当あるのでは?」の質問には「そうでもないですよ」とまたもやクールな答えだが、そのにこやかな優しい瞳は、「息子(高二)の将来? 本人に任せています」と語った時の笑顔と同じく、含羞と愛情に溢れるものだった。
(掲載号:11月22日号)
