週刊誌コラム

週刊文春「立ち話」

仕事への厳しい目と愛情と気配りの心

 日本最大の電気街"アキバ"の玄関口である秋葉原駅。通勤客に加えて、パソコンマニアからカメラを下げた外国人観光客までがひっきりなしに往来するこの駅では、平成十七年春(予定)の常磐新線開通に伴い、現在改修工事が進められている。

 ホームの改修と高架下コンコース施工を担当する大成建設の作業所は土木と建築が同居するという現場事務所としては珍しいケース。その作業所を束ねるのが近藤昭二所長である。

 そしてこの作業所には、見学者も多いが、説明にはパソコンやプロジェクタを利用するなど新しいツールをつかった取りくみをしている。

 近藤所長は昭和五十一年、大成建設に入社。工事開始から終了まで二十八年を費やした小菅(東京)の下水処理場に十四年半、その後羽田第一トンネル、山梨の塩川浄水場など、構造物のスペシャリストとして歩んできた。

 その近藤所長が昼夜問わず工事が続く現場で目配りするのは、工事の内容や進み具合だけではない。その厳しい目は、ともに働く人々への愛情の眼差しとなる。

「全員が厳しい仕事を抱えているのですから、ひとりひとりの顔色を見て、からだや心に悩みがないかどうかを考えます。健康を損ねてしまっては困りますし、頑張りすぎも考えすぎもよくない。ところが、みんな我慢強いのか、なかなか弱音を吐かないんですよ」

 山奥のダム工事現場ならともかく、大病院も近くにある都心の現場でこの心配りである。さらに続けて、

「ただし、悩みはお酒が入っていない時に聞くようにしています。区切りがあるようでない仕事なんだから、せめて酒席ではみんなでスパークしなくちゃ(笑)」

 熱い人情と心意気。下町のような温かさが秋葉原駅の高架下にあった。

(掲載号:12月13日号)