週刊誌コラム
週刊文春「立ち話」
気配りのラガーマン所長
建設中の小樽ベイシティを作業所長のO氏に案内されているときに、施設とは別に強く印象に残ったのがO氏の現場スタッフへの気配りの細やかさだ。
「危ないから気をつけろよ」
「元気にやっているか」
作業現場はもちろん、休憩所でエレベーター内で、見知った顔を見つけると、必ず温かな激励の言葉がかけられる。そんな時のO氏の表情は柔和そのものだ。
「朝礼で厳しいことばかりいって怖がられていますからね。たまには優しい顔も見せないと」
と、O氏は照れるが、そんなささやかな気配りこそが現場の連帯感を高めるうえで大いに力を発揮しているに違いない。そして、そうして培われた連帯感が、仕事の質の高さにつながっていくであろうことも想像に難くない。
1950年宮城県生まれ。高校時代は俳優の中村雅俊と同級でともにラグビーに汗を流した仲だという。大成建設に入社したのは75年。東京と九州で過ごした何年間かをのぞけば、一貫して北海道で仕事を続けている。O氏は自らの経験をふまえ建設という仕事にはスポーツに似た側面があるという。
「一人一人が自分の役割を自覚したうえでガッチリとスクラムを組めばどんな困難も乗り越えられる。スポーツでもこの建設という仕事でも、この基本は変わりません」
スポーツと違うのは建設の仕事でははっきりと形が残ること。それが建設マンの誇りでもやりがいでもあるという。そんな情熱家がこのプロジェクトにはいっそうの心血を注いでいる。この夏にO氏は東京への赴任が決まっている。この仕事はO氏にとって北海道での集大成となるわけだ。
「スタッフにはいつも、これが自分たちの仕事だと胸を張れる仕事をしようといっています」
今回は同じ言葉が自分自身にも向けられているに違いない。
(掲載号:04月08日号)
