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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜素朴なギモン編」

キレイな空気って、やっぱりオイシイ空気なんですよね?

 地球でいちばんキレイな空気は、高い山の頂や森の空気ではありません。じつは、もっともキレイな空気は、最先端の半導体などをつくる工場のウルトラ・クリーンルームにあるのです。
 キレイだと感じる高原の空気にも、数え切れないほどのホコリがあります。なのにウルトラ・クリーンルームには、約30立方センチの空間に、髪の毛の一万分の一の大きさの粒子が10個にも満たないホコリしかありません。つまり東京ドームに、ゴルフボールがわずかに10個転がっている状態です。最新の半導体の場合、回路の線幅はおよそ0.13マイクロメートル。だから、ウルトラ・クリーンルームの場合は、0.05〜0.03マイクロメートルという微細な粉塵も除去しなければ、回路がショートしてしまうわけです。
 ここまでキレイな空気ですから、さぞかしオイシイのだろうと思われるかもしれませんが、けっしてオイシイとは感じません。なぜならここには、私たちが空気をオイシイと感じる要素のひとつである香りがないからです。
 森や林の中を歩いていて、空気がオイシイと感じたことはありませんか。あれは、木などの植物がだす「テルペン」とういう香りの成分に、オイシイと感じさせたり、人をリラックスさせる効果があるからです。しかし、こうした香りの成分さえ、超精密な半導体にとってはジャマ者になるので除去されてしまうのです。
 しかもクリーンルームには、雑菌すら存在しないので、長い期間いると体の抵抗力がなくなり、カゼを引きやすくなったりします。水清くして魚住まず、の空気版といったところでしょうか。

(掲載号:06月09日号)