ホーム > 会社情報 > ライブラリー > 週刊誌コラム > 週刊朝日「大いに成るほど〜素朴なギモン編」 > 平成12年 [2000年] > 美術館に行くと、なんとなく、夏は涼しく冬は暖かく感じるのは、気のせいでしょうか?


文字のサイズ
  • 小
  • 中
  • 大

週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜素朴なギモン編」

美術館に行くと、なんとなく、夏は涼しく冬は暖かく感じるのは、気のせいでしょうか?

 美術館に入ったとき、夏はひんやりと、そして冬はほのかに暖かく感じたことはありませんか?あれは、オフィスビルなどと違って、貴重な展示品が気候の影響を受けないように、一年中いつでも温度を一定にしてあるからです。でも、美術館が気を使っているのは温度だけではありません。
 たとえば、建物が完成してもすぐには作品を展示しません。一年ほどカラのままにしておきます。これは、建材や接着剤などからでる化学物質が、油絵の油分の変質や変色の原因になるからです。そこで、一年くらい建物をカラの状態にして、建材に含まれるガスをださせてしまうのです。もちろん、建物を使いはじめてからも、チェックは続けます。展示品の近くにリトマス試験紙のような紙を吊り下げておき、その色の変化でアンモニアの濃度などをチェックしているのです。こんど行かれたとき、お確かめになってださい。
 また、湿度が比較的安定しているヨーロッパと違い、日本では湿気も展示品の大敵になります。日本の美術館では、一般的には空調機を使って湿度調節をしています。しかし、驚かれるでしょうが、特殊な和紙を使って展示スペースの湿度を一定になるようにしている場合もあります。和紙には、湿度が高いと湿気を吸い、乾燥すると水分をだして加湿する性質があるので、この性質を生かして展示室の湿度をつねに一定に保っているのです。この方法ですと、万一、空調機が止まったときにも、湿度が急激に変化するのを防げるからです。
 歴史的価値が高い貴重な作品を扱う美術館では、いろいろユニークな工夫がされているのですね。

(掲載号:06月16日号)