週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
南大東島鉄道遺産 : 沖縄県島尻郡南大東村
ひところに比べ、ずいぶん寒くなり、日暮れも早くなった。一年で一番昼間の短い「冬至」(12月22日)をそろそろ迎えることになる。寒さも寒く、日も短かく、おまけに何かと慌しい歳の暮れ。
こんな時、以前訪れたことのある「南大東島」がふと懐かしくなる。島では、太陽は燦燦と輝き、ゆったりと時間が流れているのだろうな。
南大東島は那覇から飛行機で凡そ1時間。沖縄の東方400キロ、太平洋の真っ只中に浮かぶ周囲20キロばかりの小さな島である。真夏の昼間に訪れた時は、息をするのも辛いほど暑かった。この島は明治33年に始めて開拓先遣隊が上陸するまで無人島だったが、その後、ジャングルを切り開き砂糖きびのプランテーション(大農園)の島となった。
砂糖きびの水やり、取り入れと運搬のために製糖会社は、大正6年、島の周囲を巡る鉄道を敷設した。この「砂糖きび鉄道」は昭和59年にトラック輸送に切り替えられ、廃線となった。しかし今も、石を積んで造った機関車庫などの建物、当時走っていた鉄道車両などの近代化遺産が残る。鉄道ファンは一度訪れていただきたい島だが、鍾乳洞や亜熱帯の植物、大東大コウモリなど見どころや珍しい動物なども多い。
まあ、考えてみれば年の暮れに南の島でのんびりと過ごすことができる贅沢は、夢のまた夢だ。しかし、それにしても機会あればもう一度訪れたい場所ではある。
(掲載号:2001年12月28日号)
