週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
マイントピア : 愛媛県新居浜市
四国今治と言えば、日本の代表的なタオル産地。この今治タオルの歴史は古く、明治19年に矢野七三郎という人物が、伊予ネルの生産をはじめた年に遡ると言われ、既に120年近い歴史を持つことになる。今治では本四架橋の完成を記念し、また、タオル地の新たな利用開拓のために、近年「タオル・マフラー」なる新製品を開発した。伝統的な技術を新しい製品に生かす、まさに、近代化遺産の保存と活用につながっている。
今治から東に30キロほどの町、同じく瀬戸内海に面した新居浜市も産業遺産の保存と活用に熱心な、知る人ぞ知る鉱山遺産をまちづくりに生かすモデル都市である。
鉱山や精錬所の遺構は背後の山の中から麓の市街地、海上の四阪島まで広がっているが、手軽に見学しようと思うなら、鉱山をテーマとしたテーマパーク「マイントピア」を訪れて見るのも良いだろう。レストラン・大浴場・模擬鉱山鉄道・坑道などが設けられていて、親子で楽しく遊ぶことが出来る。
近代化遺産として気になるのはマイントピア入り口の川をはさんで対岸にたたずむ「旧端出場水力発電所」だ。別子銅山が活況を呈していた明治45年、各鉱山施設に電気を供給するために建設された建物。アーチ型の窓を持つ堂々たる煉瓦造である。周囲の山の風景に溶け込んでいて、ヨーロッパの田舎で古い発電所を訪れたような印象を受ける。タオルと発電所、一見かけ離れた二つの間に、この地方の人たちの営みや生業の歴史が見える。
(掲載号:2004年11月12日号)
