週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

JR琴平駅 : 香川県仲多度郡琴平町

 金刀羅宮は、「金毘羅船々追風に帆かけて シュラシュシュシュ まわれば四国は 讃州那珂の郡 象頭山 金比羅大権現」と歌われるほど有名だが、その表玄関と言えるのがJR琴平駅だ。

 大正11年竣工、金比羅神宮の玄関だから和風かと言えば、木造ながら全くの洋風建築で、ハーフチンバーと言われる、柱の形を外側から見えるようにしたデザインだ。琴平は門前町というだけではなく、この地方の交通の要地で、こんな立派な駅舎が建てたれたのである。琴平駅には四国ではじめての公衆電信取扱所が設けられたと言われている。

 駅舎は、それほど派手な装飾がなされているわけではないが、それでも細かく見ていくと、車寄せの軒には「丸金」、丸の中に金の字の装飾が施されている。丸金は金比羅神宮のシンボルマークで、江戸初期からみやげ物の団扇(うちわ)などに使われ始め、今でも町のあちこちで見かけるマークである。

 ところで、大抵の駅前はロータリーなどが設けられているが、琴平駅の前は、灯篭が両側に並んでいるのだ。モダンな駅舎と駅前の灯篭の列の妙な対比。この辺りの違和感も琴平駅独特のものだ。

 金刀羅宮の石段は一番奥の奥社まで1368段。この石段が有名で、一挙に登れば息が切れてしまうが、先ず足慣らしに、琴平駅、高松琴平電気鉄道(琴電)琴平駅、などの駅舎をたどりながら、本格的に登り始めるのはいかがだろうか。629段目には旭社、近くには書院といった国の重要文化財に指定された建物もある。

(掲載号:2008年05月23日号)