週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

ドイツ橋 : 徳島県鳴門市大麻町

 この時期、全国各地で祭りが開かれるが、市民こぞってと言って良いほどの盛り上がりを見せるのが、徳島の「阿波踊り」である。まあ、これに匹敵するのは、リオのカーニバルでしょう。徳島の阿波踊りは、毎年8月12日から15日の4日間。タレントの参加する「連」も幾つも出る。ここまで盛り上がれば、まさに「踊らにゃ、そんそん」。

 さて、阿波踊り見物の後は、近くの文化財探訪と言うのも気分が変わってよい。現在、四国横断自動車道の建設が進む鳴門~板野間は、四国八十八ヶ所の一番札所「霊山寺」、二番札所があり、また阿波の一宮「大麻比古神社」など、社寺や古墳が多い場所である。近代化遺産は、大麻比古神社本殿の裏にある「ドイツ橋」。このアーチ橋は、日本が参戦した第一次大戦で捕虜となったドイツ兵約1000人が板東俘虜収容所に3年間収容された時、母国の土木技術を生かして建設したものだ。お雇外国人が設計や指導をした建造物は随分あるが、メイド・アウト・ジャーマンと言うか、外国人が設計から施工まで丸々やり遂げた建造物は、このアーチ橋だけではないか。収容所での生活は、大らかで、地元の人たちとも日常的に交流していた。ベートーヴェンの「第九」の日本初演はドイツ捕虜によりこの地で行われている。この様子は近くの「鳴門市ドイツ館」に展示されているので、機会あれば訪れていただきたい。

 因みに、四国横断自動車道近くの板東谷川にかかる橋は、2連のアーチ橋として設計。ドイツ人の残した近代化遺産ドイツ橋をイメージしたデザインだ。

(掲載号:2001年08月17日・24日合併号)