週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

旧海軍兵学校 : 広島県江田島市

 秋も深まり、そろそろ山に紅葉の話題も聞こえる。紅葉と言えば、広島名物の「もみじ饅頭」は楓の葉の形をしており、日本三景の一つ安芸の宮島の紅葉をかたどったと言われる。

 広島を訪れた折に、江田島に渡ってみるのはどうだろうか。広島駅前から、フェリーが発着する広島(宇品)港まで、市街地の見物を兼ねて路面電車で行くのも良い。高速フェリーで20分あまり。瀬戸内の景色を眺めながらの短い船旅で小用と言う港に着く。ここからバスで5分、海上自衛隊幹部候補生学校・第1術課学校があり、旧海軍兵学校へ到着する。

 一般向けの見学は、日に何回かツアーが組まれているので、これに参加すれば旧生徒館(ダイアック 明治26年竣工)、大講堂(大正6年)、教育参考館(山下寿郎 昭和11年)など主な戦前の施設を見ることができる。特に教育参考館には旧海軍の貴重な資料が収蔵・展示されていて、ゆっくりと見る時間が設けられている。

 ダートマス(イギリス)、アナポリス(アメリカ)と並ぶ世界の3大兵学校として知られた旧海軍兵学校の建物は、いずれも堂々とした西欧の様式建築。そして、凛と張り詰めた緊張感を漂わせる引き締った建築である。海軍兵学校の玄関は海側の桟橋で、ここから、眺める風景を意識して建物が立ち並んでいる。その後には有名な古鷹山、この山の紅葉も美しい。

 大都会にもないような、一流の近代建築が立ち並ぶ風景が江田島にはある。

(掲載号:2005年10月28日号)