週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
友ヶ島灯台 : 和歌山県和歌山市
加太港から船でおよそ20分、瀬戸内海国立公園の一部となる友ヶ島には、明治5年に点灯した灯台が今も使われている。この灯台は、日本の洋式灯台の中では最も古いものの一つで、明治政府に雇われたイギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが建設した。明治22年に東にわずかばかり移設されたが、灯台、吏員退息所など、往時の姿を留める。
2007年、この灯台建設135周年を期して、一大イベントが行なわれた。135年記念というのも何か中途半端な年代なのだが、大いに意味があるといえばあり、国際的に取り決められた新しい経度・緯度の測り方によれば、それまで外れていた友ヶ島が見事に東経135度の線にぴったりと乗ってしまったのである。
この灯台の位置は、東経135度00分12秒とされ、この12秒は40メートルほど離れているだけという。というわけで、この135度と、明治5(1872)年の竣工以来135年目の両方をかけて、普段見れない灯台内部の一般見学などの行事が行なわれ、渡船の臨時便を出すほどの人がこの島に集まったというわけなのである。また、ローカルながら、友ヶ島記念切手もこの年に発売された。
因みに、友ヶ島は東経135度の線に乗る日本の領土内では最南端の島だという。まあ、こういったわけで灯台の歴史的な価値と、地理的な特徴の両方が珍しいのである。
明治21年に陸軍用地となり、要塞化されその跡が今も残っている。島には、様々な植生が見られ、シカやリスも生息しているという。
(掲載号:2008年09月19日号)
