週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

生野銀山の遺産 : 兵庫県朝来市

 姫路から日本海岸の城之崎に通じる播但鉄道に乗り1時間弱、兵庫県の山中に生野の町がある。生野の町といったのは、現在この地域一体は町村合併で朝来市になったからだが、元の生野町は日本の代表的な銀山、生野銀山の中心地として栄えてきた。周囲を森に囲まれているからか、標高がかなり高いためか、この辺りに来ると夏とは言え朝夕は涼しい。

 鉱山は昭和48年に閉山。鉱山の歴史は古く江戸時代以前から本格的な採掘を始めたらしい。しかし、近代の生野鉱山も日本の鉱山歴史の中では有名で、明治元年からフランス人鉱山技術者をこの地に招いて、近代的な開発を行った。生野や周辺には初期の精錬施設や社宅など様々な近代化遺産が今も残っている。

 生野の駅を降りて旧市街地に入ると、郷宿(旧吉川邸「井筒屋」天保3年ごろ)、地役人の住宅などの江戸の町、明治初期に建てられた官舎などが残り、落ち着いたたたずまいを見せる。しばらく歩くと「生野銀山」の観光坑道があるのでこちらに足を運んでもよさそうだ。少し離れているが、神子畑には我が国には珍しい鋳物でできた橋「神子畑鋳鉄橋」(国重要文化財)、もともと生野地区にあった外国人住宅「ムーセ邸」が移築されて残っており、これらの近代化遺産を見学するのも楽しい。歩いて訪れるのは遠すぎるので、タクシーなどを利用されることをお勧めする。

(掲載号:2006年08月04日号)