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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

旧八百津発電所資料館 : 岐阜県加茂郡八百津町

 筏流し、あるいは木流しとも呼ばれる木材の運搬作業は、丁度、今ごろ行われる。冬の間に伐採した木材を春の雪解けの増水を利用して本流に流していくのだ。

 一本ずつ流されてきた木材は、水量豊かな本流でまとめられ筏に組まれる。このような木材をまとめるのに適した地を「網場(あば)」と呼ぶ。木曽川は木曾檜の筏流しで有名だが、網場は、岐阜県の八百津町にあり、上流から流されてきた木材は、錦織(にしこおり)という地点で筏に組まれた。木材はここから筏で、桑名まで運ばれて江戸や大阪の消費地に海上輸送されたのである。

 この錦織網場の対岸は中世以来木曽川の最奥にある川港として有名だった。明治になって水運は衰えたが、八百津には木曽川の豊富な水を利用した水力発電所が建設された。この八百津発電所(旧名古屋電灯木曽川発電所 明治44年竣工)は、昭和49年まで発電を続けた。上流に新しい発電所が建設された後も、貴重な明治の産業施設として保存されることになり、八百津町では、この産業遺産を資料館として再利用した。

 八百津町は、日本のシンドラーと呼ばれる、リトアニアで沢山のユダヤ人を救った杉原千畝の出身地であり、記念館がある。もし、八百津町を訪れる機会あれば、この旧八百津発電所資料館を訪ねるのも良い。

(掲載号:2002年03月29日号)