週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

美濃橋 : 岐阜県美濃市

 高山本線の美濃太田駅から長良川鉄道に乗り換えて、美濃市に向かう。美濃市は美濃紙の流通の中心地として発達した。今も賑やかだった時代の面影を残す古い商家が軒を連ね、風格のある町並みを形づくっている。美濃市の町屋の特徴は「うだつ」があることだ。

 うだつとは、屋根の両端を一段高くして、火災の類焼を防ぐ一種の防火壁。この防火壁の上部は瓦などで飾られるので、うだつが連なる町並みは美濃市の町並みに他とは違った趣を与えている。ついでながら「うだつがあがる」という言葉があるが、金持ちで無ければうだつのある家は建てられず、転じてうだつのある家を建てられるほど出世したことを指すようになったという説がある。

 こんな美濃市の町のはずれに、「美濃橋」が架かっている。長良川を跨ぎ、長さ113メートル、幅3・1メートルの吊橋だ。長さに比べて橋の幅は狭く、細長い印象。鉄筋コンクリートの主塔、橋の側壁は鉄製トラスの補剛桁で、このトラス構造で重さを支えるようにしている。これはよくある構造だが、今時珍しいのは橋床に木材が使われていることだ。大正5年に完成。現存する「最古の近代吊橋」と言われ、国の重要文化財に指定されている。

 美濃の町を訪れて「うだつ」のある町屋が構成する町並みを楽しみ、少し歩いて近代化遺産の美濃橋を渡るというのはいかがだろう。また有名な美濃紙の展示場などを訪れるのも楽しい。

(掲載号:2007年04月13日号)