週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

旧岐阜県庁舎 : 岐阜県岐阜市

 暦の上では既に中秋だ。月が美しく、灯火親しむ候、知識欲なども高まり、柄にもなく、秋の美術展などを覗いてみたくなる。

 クラシックな建物の美術館や博物館などに出かけると、ついつい施設のほうに目が行ってしまう。そして、近頃は壁や階段の手すりなどに使われている大理石が妙に気になる。

 石材の中で大理石ほど色合い、模様、質感が多様な石はなく、時にその表面にアンモナイトなどの化石を見ることができる。大理石はイタリアなどから輸入していたと思っていたが、昔は日本でも大理石を採掘した。美濃赤坂(大垣市)は産地として有名だった。

 現在岐阜市に保存されている旧岐阜県庁舎(現岐阜県総合庁舎 大正13年竣工)は、美濃大理石を使った建物だ。建物の正面玄関や中央ホールの床・壁・階段・手すりなどにふんだんに大理石が使われているが、この石は大垣市の金生山から採れたものだといわれる。金生山は様々な生物の化石を含んだ大理石が採れることで、古生物研究者の間では有名だ。

 庁舎に使われているのはねずみ色の表面に白い模様のある石。白い模様はシカマイアという長さ1メートルにも成長する二枚貝の化石だという。この石材で覆われた室内は荘重な雰囲気が漂う。正面玄関の欄間には飛騨アルプスのステンドグラス。こちらも御覧いただきたい。

(掲載号:2005年09月16日号)