週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

三国港エッセル堤 : 福井県坂井市

 春は、どこか旅に出たくなる。こんなとき福井県の三国港を訪れてみるのはいかがだろうか。明治の半ばまで、北前船の寄港地として賑わった港で、今も旧市街地には当時の面影をしのばせる街並みや、西洋建築(旧森田銀行本店 大正9年)が残っている。

 三国港は江戸時代日本海側の重要な寄港地だったが、明治になると九頭竜川の土砂で港は埋まり始めた。明治政府はこの問題をオランダの港湾技術を用いて解決しようとし、お雇い外国人技師G・A・エッセルは明治9年に堤防を造る計画を立てた。

 工事はデ・レーケが監督。明治13年に堤防工事が完成した。このオランダ堤防ともエッセル堤防とも呼ばれる巨石を積み上げた堤防が、今も三国港に残っている。

 うららかな春の日、こんな堤防の上を歩いて見るのも良いだろう。堤防から高台に見える「みくに龍翔館」は三国町が建設した歴史資料館。印象的な形をしているのは、エッセルが三国に西洋式の龍翔小学校(明治10年開校)を設計し、この小学校の形をモチーフとしているため。

 因みに、G・A・エッセルの息子がトリックアートの第一人者として有名なマウリッツ・エッシャーで、この龍翔館の中にもエッシャーの作品が展示されているという。三国は近くに東尋坊もあり、温泉も多い。港の温泉施設「ゆあぽーと」からは海に突き出したエッセル堤が見える。

(掲載号:2006年04月21日号)