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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

佐原町並み交流館(旧佐原三菱館) : 千葉県佐原市

 水郷にアヤメの花の咲くころだ。千葉県佐原は水郷の町である。北総と言うのだろうか、茨城県との境辺り、河口近くの川幅を広げた利根川の南に水郷の町「佐原」がある。周囲は一面の水田。そして縦横に走る運河。江戸時代から佐原は、この地方と江戸を結ぶ水上運送と商業で栄えた町だった。

 佐原は今も江戸から明治の面影を残す町だ。町の中心を運河が流れ、この川の両岸に古い町屋が軒を連ねている。更に運河に交差する街道の両側にも古い町屋や、洋風建築が建ち並んでいる。近代化遺産といえば、街道沿いにある旧川崎銀行佐原支店(大正3年竣工)は、小ぶりなドームの付いた赤レンガの洋風建築だ。佐原三菱館という名で親しまれていたが、今年の4月に修理保存工事を終え、町並み交流館として、観光の拠点として活躍をはじめた。

 佐原の旧市街地は平成8年に国の重要伝統的建造物保存地区に選定された。その後、増改築で形の変わった建物を着々と復元し、歴史的な町並みの整備を行ってきた。見所としては、全国を測量して初めて正確な日本地図を完成した伊能忠敬の邸宅と「伊能忠敬記念館」がある。また、創業が天明2(1782)年といわれ、明治の建物で蕎麦を食べることが出来る小堀屋本店(明治33年)など、なかなか味わいどころも多い。

 夏と秋には大祭で賑わう佐原。アヤメの咲く今ごろは、女船頭の佐原囃子で運河をゆっくりと進むサッパ船での舟遊びもまた格別だろう。

(掲載号:2005年06月03日号)