週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
ホフマン式輪窯 : 埼玉県深谷市他
褐色のレンガはなぜか気持ちの落ち着く建築材料だ。レンガ敷きの歩道、レンガ壁、赤レンガの洋館と、思い出に残る場所は沢山ある。ところで、昔のレンガ壁と今のレンガ壁に違いがあるのはお分かりだろうか。現代の技術で焼いたレンガは規格が統一され、製品の品質管理も万全。だから、一つ一つのレンガの大きさや形が寸分違わない。しかし、昔のレンガは、未だそれほどの技術力が無かったので、大きさも形もバラバラだ。
実は、この昔のレンガの形や色、大きさの微妙な違いがミソで、このような不揃いのレンガで積まれた壁の方が、品質の揃ったレンガよりも余程味わいが深くなるのである。では、現在もそのような不揃いのレンガを作れば良いではないか、と言うことになるが、これが逆に難しい。現代の技術は高品質のものを大量に安くつくることには長じていてもバラバラの不揃いなものをわざと作るのは逆にコストがかかるのである。
昔のレンガ窯は「ホフマン式輪窯(リングキルン)」という窯で焼いた。日本のあちこちにあったホフマン窯は、今や全国で数えるほどとなってしまった。旧下野煉瓦窯(明治22年 栃木県野木町 国指定重要文化財)、神崎煉瓦ホフマン窯(明治30年代 京都府舞鶴市 国登録文化財)、日本煉瓦製造の煉瓦窯(明治40年 埼玉県深谷市 国指定重要文化財)である。日本煉瓦は史料館もあり、見学もできるようになっている。一度訪れてみてはいかがだろうか。
(掲載号:2004年07月30日号)
