週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
丸沼堰堤(ダム) : 群馬県利根郡片品村
この1月に群馬県の旧富岡製糸場と絹産業遺産群は世界遺産暫定一覧表に載ることになった。
明治5年に操業を開始した富岡製糸場は教科書にも載るほどで近代化遺産の代表格、もちろん国の重要文化財に指定されている。また、群馬県の近代化遺産—重要文化財としての「碓氷峠鉄道施設」。この旧アプト式鉄道の廃線跡にもハイキングをする人達を見かけるようになった。
群馬県にあるもう一つの近代化遺産で国の重要文化財に指定されているのが、「丸沼堰堤」だ。この重文は知る人ぞ知る群馬の近代化遺産。日光に至る金精峠の近く、標高1430メートル、スキー場のある丸沼高原にひっそりと佇んでいる。
普通のダムは中身の詰まったどっしりとした重量感を与える。もっともアーチ式のダムであれば軽快な感じもするのだが、この丸沼ダムはバットレス式と呼ばれる構造。昭和6(1931)年に完成したが、この構造のダムは全国で6基しか残っていないらしい。
ダムの裏側と言うか、湖面の反対側は井桁のように幾段にも組んだ巨大な鉄筋コンクリートの柱と梁が堤高32・2メートル、堤頂長88・2メートルを支えている。この姿を見、壁の裏側の湖水の膨大な水を支えていると考えると感動さえ覚える。
内務省土木試験所所長を勤めた有名な土木構造技術者、物部長穂が設計した。全国でも数少ない大規模バットレスダムは建設当時の形状を維持しているとして重要文化財に指定されたのだ。
(掲載号:2007年03月02日号)
