週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
古河橋 : 栃木県日光市
群馬県桐生市から「わたらせ渓谷鐵道」に乗り、旧足尾銅山に向かう。途中、渓谷の美しい風景を堪能するが、終点近くになれば亜硫酸ガスで植物が枯れた異観の禿山。鉱山が操業していた時代の名残だ。現在は日光市に編入されているが日本屈指の銅鉱山として発展した町だった。足尾銅山の歴史は古く、慶長年間から始まり昭和48年に閉山した。特に、明治10年の古河市兵衛の経営によって近代鉱山として大きく発展。大正初期にはこの地域には3万8千人もの人が住んでいたと言われる。
現在、旧鉱山一帯には様々な近代化遺産が残る。その一つが「古河橋」。かつて鉱山の中心であった本山という場所にあり、渡良瀬川に架かるドイツ製の鉄橋で、明治23年に開通した。がっちりとした造りの鉄の橋で、如何にもドイツで造られたという風格を漂わせている。
橋の長さ48・5メートル。ボーストリング・ワーレントラスという構造形式で、アーチ型の橋の形とボルト接合。特にこの時代の大型の橋でありながらリベットではなく、ボルトで接合されているところが珍しい。そんな周囲の風景からは余りにもかけ離れた古風で立派な鉄の橋が足尾にはある。そして、鉱山町として活況を呈していた足尾の賑わいを今に伝えている。
以前この橋の近くまで鉄道が通じていたが、現在は手前の間藤駅までだ。歩いていかなければならないが、途中にはいくつかの旧鉱山施設が残る。異観を呈する山の姿を見ながら、近代の鉱山施設を見学するのはいかがだろうか。
(掲載号:2007年09月28日号)
