週刊誌コラム
週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」
横利根閘門 : 茨城県稲敷市
JR成田線佐原駅から程近い利根川の水郷大橋を渡ると「横利根閘門」がある。閘門とは高低差のある水面で船を昇降したり、水量を調整する土木施設。関東平野の内陸部に大雨が降ると、利根川が増水して雨量の少ない霞ヶ浦にしばしば逆流し被害を及ぼした。閘門が建設されたのは、この水量調整のためと利根川と霞ヶ浦を運航する船の安全のため。明治33年からはじまった利根川改修工事(第2期)の一環として大正3年に着工し大正10年に完成した。
煉瓦を使って建設した大規模な施設で、建設当時のような大型船が通過することは無いが、釣り船などが今も利用している。平成12年国の重要文化財に指定。周囲も「利根川閘門ふれあい公園」として整備され、春の桜が美しい。このような景観とマッチして赤い閘門の煉瓦が水面に映る様子はまるでヨーロッパのどこかにいるようだ。
ちなみに、佐原は水郷の町として有名。こちらも運河をはさんで古い町並みが残る歴史的な景観が整備され、街を歩くと、時に洋風建築に出合う。また、この町は全国測量で有名な伊能忠敬の住んでいたところ。記念館などがあり、ここを訪れるのも楽しい。
明治大正の土木技術の粋を集めた横利根閘門と江戸時代の測量技術を展示した伊能忠敬記念館。利根川を挟んだ両方の場所を訪れることによって、日本の国土を測り基幹施設を建設した大測量家の事跡や土木家の心意気に触れることができる。
(掲載号:2007年04月27日号)
