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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

緯度観測所旧本館・木村栄記念館(現国立天文台水沢観測センター) : 岩手県水沢市

 秋も深まり、夜空も冴えて星が美しく見える季節となった。天文学に詳しくはなくとも、何気なしに、夜空を見上げぼうっとすることがある。夜空はわたし達の、心の風景にもなっているのかもしれない。

 天文学の歴史をさかのぼってみると、明治31年(1898)ドイツで開かれた国際測地学協会で、北緯39度8分の線上6カ所に置くことが決議された。カルロフォルテ(イタリア)、ゲザースバーグ・シンシナチ・ユカイア(アメリカ)、チャルヂュイ(ソビエト)とともに日本の水沢が選ばれた。

 翌年、臨時緯度観測所の初代所長として、木村栄が迎えられた。後に木村栄はこの観測所での職員らとの日夜の観測から、緯度変化を示す公式の「Z項」を導きだし、世界的に知られる天文学者となる。

 その観測を行った建物は、明治建築の面影を残したまま敷地内に移築され、現在は「木村記念館」(明治32年)となっている。また「水沢緯度観測所旧本館」(大正10年)もそのままの姿で保存されている。旧本館は、白い下見板張りの木造2階建てで、左右対称の建物。瓦葺屋根の上の望楼がアクセントとなっている。

 臨時観測所の設置から100年あまり。第一次世界大戦、第二次世界大戦中も一日も休むことなく観測がつづけられ、現在も時を刻むように休むことなく観測がつづけられている。

(掲載号:2003年11月07日号)