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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

岩手銀行中ノ橋支店(旧盛岡銀行) : 岩手県盛岡市

 桜の季節は、代表的な桜ソメイヨシノをはじめ、八重咲きの桜などいろんな種類の桜を楽しむのも面白い。ところで、「石割桜」という桜をご存知だろうか。その名の通り、桜の木が石を割って生えている。

 この桜が咲く場所はみちのく盛岡。県庁からほど近い、盛岡地方裁判所の前に堂々たる風貌をあらわす。この桜は約350年前、花崗岩のひびに桜の種が落ち、生育につれ石を割ったと伝えられている。幹の周囲は4・6メートル、樹高10・8メートルで、花崗岩の周囲は21メートル。4月の下旬に花が咲く。

 この桜を見物しながら市内を歩いてみる。南部富士ともうたわれる岩手山をのぞむ盛岡には、北上川、中津川と大きな川が流れる。中津川へ歩いていくと、盛岡城のある岩手公園が見える。向い側に、ぱっと目を引く赤い煉瓦造りの洋館が建っている。これが旧盛岡銀行本店。現在は岩手銀行中ノ橋支店として現役で営業しており、重要文化財に指定されている。

 角地にあり、その角部分に塔とドームを持つ。外観は赤い煉瓦に花崗岩でできた白い帯が何本もとおり、道行く人の目をひく華やかさである。クラシックで独特なたたずまいは、明治を代表する建築家、辰野金吾とその教え子で盛岡出身の葛西萬司との辰野葛西事務所の設計により、明治44年(1911年)4月に完成した。

 春まだ浅いみちのくを訪ね、旨い酒を飲み、石割桜の生命力と近代化遺産に酔いしれてみてはいかがだろうか。

(掲載号:2003年04月11日号)