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週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

青森銀行記念館(旧第五十七銀行本店本館) : 青森県弘前市

 津軽では、りんごの袋かけの季節だ。中でも弘前市は生産量日本一を誇るりんごの町で弘前城のお堀の桜が散った後、八月初めのねぷた祭りの間、りんご農家は忙しい季節を迎える。

 弘前は、りんごの町と同時に近代化遺産の町でもある。戦災に逢わなかったせいか、今も町のあちらこちらに歴史的な雰囲気を漂わせる場所が残り、また、キリスト教会、時計塔のある商店、教育施設など、町を歩くと洒落た西洋館にたびたび出会うのである。

 中でも町の中心でどっしりと構える「青森銀行記念館」(旧第五十九銀行本店本館 明治37年竣工 国重文)は、見ごたえのある西洋館。木造ながら威風堂々とした外観、内部も津軽のケヤキやヒバをふんだんに用いた豪華な造りだ。弘前藩お抱えの大工棟梁の長男、弘前に数多くの西洋館を建てた大工棟梁堀江佐吉が設計・施工した。

 堀江は伝統的な大工技術に優れ、西洋建築技術も経験を通して身につけていた。防火のために壁の内側に瓦を張り詰め、漆喰で上塗りするなど伝統的な土蔵造りに通じる技法が使われている。さすがに木部に彫られた彫刻や仕上げは見事だ。現在、一階にこの銀行や貨幣の歴史を中心とした常設的な展示がある。

 もともとこの銀行は現在の場所から50メートルほど先にあったが、昭和40年に曳き家して現在の場所に移された。

(掲載号:2006年07月07日号)