週刊誌コラム

週刊朝日「大いに成るほど〜近代化遺産編」

市立函館博物館郷土資料館 : 北海道函館市

 函館の西部地区が気に入っている。海岸には煉瓦の倉庫が並び、函館山の中腹の坂道にはハリストス正教会など、多くの洋館が立ち並ぶ。初夏の明るい日差しの中、洋館を巡って散策する。

 函館のもう一つの楽しみ方は、美術館・博物館・郷土資料館が充実していることだ。このような施設は西部地区の路面電車の走る道沿いに、戦前に建てられた銀行や商店などが使われてるので、近代化遺産の見学を兼ねた博物館巡りができる。

 そんな一つに、「市立函館博物館郷土資料館」がある。この建物は、明治13年に竣工した旧金森洋物店の建物。現在は殆ど街中では見ることのできない、西洋建築と伝統的な和風建築の両方の特徴が見られる「擬洋風」と呼ばれる建物だ。当時の大工さんが、精一杯頑張って西洋風建築を建てました、と思わせる外側の姿が面白く、また微笑ましい。近年、竣工した当時の建物の形に復元されており、中には金森洋物店の内部を再現した展示がなされている。

 この建物は、外壁に漆喰が塗られているので見えないが煉瓦を積んで建てた建物。窓や入り口を見ても、昔の蔵のように分厚く漆喰を塗り込めた戸を使っている。こんな風に火事に強い建て方をしたのは、明治11・12年に函館に大火事があり、函館の市街地が焼けた経験から。明治40年の大火でもこの建物は焼けず、今も明治初めの函館の面影を伝えている。

(掲載号:2006年06月09日号)