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プレスリリース

「ウェットランド(沿岸環境)における生物生息環境評価・予測技術」の開発

−大成・鹿島による4年間の共同研究成果−

2004年10月28日

大成建設株式会社
鹿島建設株式会社

概要

大成建設(株)技術センターと鹿島建設(株)技術研究所は共同で、「ウェットランド(沿岸環境)」の再生に関する技術開発を2000年度から4年間にわたって実施し、「生物生息環境評価・予測技術」を開発した。
本技術はアサリ、カニ、ゴカイ、ヨシ、アマモなどのウェットランドにおける代表的な生物を対象とした生息環境評価モデルで、地形・水質・底質・波浪などの環境条件を入力すると、その環境に応じた各生物の生息量が数値として評価・予測できるものである。
従来の干潟やアマモ場などの造成計画が過去の類似事例を参考にして試行を繰り返しながら行っていたのに対して、本技術では個々の生物や生態系の評価を含めた合理的な設計・計画が可能となる。
また、この共同研究では上記の技術成果を生かしてウェットランドの造成方法に関するハード技術も同時に開発し10件の特許を出願した。
更に、ウェットランドに生息する重要な生物としてシギ、チドリなどの水鳥に着目した調査を実施し、水鳥に好ましいウェットランドの造成に関する各種のノウハウも蓄積している。
これらの技術開発成果をもとに両社は、今後、積極的に自然再生事業に参画していく方針である。

※ウェットランド:海や湖沼の沿岸の干潟、藻場、ヨシ原などからなる湿地や浅場のこと。生物の棲み家と水質浄化にとって重要な場である。

技術の特徴

(1)ウェットランドの生物生息環境評価・予測技術

本共同研究では、米国で開発されたHSIモデル(Habitat Suitability Indexモデル、生物生息地適正指標モデル)を参考として、両社で実施した金沢八景・江奈湾・三番瀬・盤洲における現地調査データをもとに、地形・水質・底質・波浪などの環境条件によって各生物の生息量を評価・予測できる生息環境評価モデルを開発した。

(2)ヨシ、干潟、アマモなどが連続したウェットランドの造成技術

従来のウェットランドの造成はヨシ原、干潟、アマモ場を個別に造成するものが殆どで、一体となった本来の沿岸生態系全体を再生するものは無かった。
しかし、自然再生型のウェットランド造成では、陸域から海域にまたがった生態系の連続性(例:陸域のヨシ〜干潟のカニ、ゴカイ〜浅場の藻場など)と多様性を考慮した設計が求められていた。
本評価技術を用いることで、ウェットランドの連続性と多様性を考慮した上で生物・生態系を含む総合的な評価方法を確立することが可能となり、具体的なウェットランドの造成手法についても10件の特許を出願した。

(3)水鳥の生息に好ましいウェットランドの造成技術

ウェットランドの生息生物の重要なものとしてシギ、チドリなどの水鳥が上げられ、本共同研究では水鳥に注目した現地調査を実施し、ヨシ原と干潟が一体となった環境は水鳥の休息に重要であること、干潟の小さな凹凸は多様な水鳥の餌場になることなど水鳥に適したウェットランドの環境や、今後のウェットランドの造成に役立つノウハウを蓄積した。

両社の共同研究の経緯

水域環境に係わる技術分野は水理・土質・生態系を含む多方面の技術が要求され、また、実証試験では大きな研究費用等が伴う。

両社には、水域環境分野における技術ポテンシャルとして、本分野の専門家や、同種類の水質予測シミュレーション技術・技術開発実績を有するなどの技術開発上の共通点があり、共同研究によって技術開発の効率が高まることが期待された。

また、公共性の強い事業分野であるため、1社による技術の独占より、共有する事が水域環境の向上に役立つと考えられる。

技術の展開

両社は共同研究で得られたノウハウを基に、2003年度より国土交通省国土政策総合研究所と共同で大阪湾阪南2区地区において、現地フィールドで検証しながらヨシ原造成技術、干潟地形安定化技術等の開発を行う干潟創造実験を開始した。

今後両社は、都市再生・自然再生事業への要求が高まるなか、こうした共同研究の成果を基に、わが国の閉鎖性海域、湖沼、河口域、都市河川における環境修復事業及びミチゲーションを促進する提案を行ってゆく。

特に、都市圏を抱える東京湾や大阪湾、伊勢湾等の沿岸再生事業に注力し、「自然再生」という建設業の新しい分野において事業展開を図ってゆく。

資料

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