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プレスリリース

湖や沼の底に眠る水草種子の発芽に成功

−地域固有の水草復活による水辺環境の再生技術−

2006年2月1日

大成建設株式会社
千葉大学園芸学部

大成建設(株)(社長:葉山莞児)は、千葉大学(園芸学部:百原新助教授)と共同で、その地域に元来生息していた稀少な水草を復活させて水辺環境を再生する研究開発に着手し、温度条件を制御することにより水草の発芽と生長を促進する技術を開発しました。この水草発芽技術を千葉県の印旛沼の湖底下から採取した種子(埋土種子)に適用した結果、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種とされる水草の発芽に成功しました。

湖沼の水中に生育する水草は、湖水や底泥から栄養分を吸収したり、湖水の流れを弱めてヘドロの巻上げを防ぎ、湖水の透明度を高めるなどの水質浄化効果をもたらすとともに、魚介類や小動物の生育場所となることから、湖沼の環境改善に重要な役割を担っています。一方、近年湖沼の護岸整備や水質悪化により、全国の水草のおおよそ1/3にあたる植物種が絶滅の危機に瀕しているとも言われ、自然再生事業の高まりとともに、過去に失われた水草の再生が期待されています。しかし、従来の水草再生手法は、外部から水草を移植するものが主体であり、この手法では、外来種の繁茂の危険性が伴ううえ、地域固有の生態系を乱す恐れがあります。これに対して、最近、湖底の地下深く埋没している水草の種子(埋土種子)を用いて、過去に生育していた水草を復活させる試みが霞ヶ浦などで実施されています。この埋土種子を用いた水草の再生技術は、地域固有の水草が再生できるという長所がある反面、現状では湖底から浚渫した土壌を撒き出して種子を発芽させるという自然まかせの方法に頼らざるを得ず、確実に発芽できるかどうかに課題がありました。

そこで、今回開発した水草の埋土種子による発芽技術は、温度条件などを制御することにより、種子の発芽効率や生長度を向上させるもので、確実に水草を再生する技術といえます。印旛沼干拓地の約3m下の土壌から、埋土種子(約50年前に埋没した種子と推定)を採取し、発芽実験を実施しました。試験水槽において、温度や光などの条件を設定し、種子の発芽ならびに生育状況をモニタリングした結果、水中に没して生育する水草(沈水植物)の一種である、ムサシモ、セキショウモ、シャジクモ類の発芽に成功しました。現在の印旛沼では外来種のオオカナダモと数種の沈水植物のみしか観察されてないのに対して、今回発芽に成功した水草には、環境省のレッドデータブックに絶滅危惧種(I類が最も稀少)とされているケナガシャジクモ(絶滅危惧I類)、ムサシモ(絶滅危惧IA類)の発芽・生育が確認されたことから、本技術により埋土種子から稀少な水草が復活できることが実証されました。

今後、水草による水辺環境の再生研究の展開として、水草の発芽や生育に関するデータをさらに収集し、水草発芽技術の適用範囲を拡大するとともに、当社が保有する水域環境再生技術(浮消波堤工法、覆砂工法など)を活用して、草の生育に適した湖沼の環境改善を目指していきます。さらに、埋土種子の効率的な採取方法の開発や、浚渫土の有効活用により生育地を造成しながら、マツモ・ササバモなどの沈水植物、ヒシ・アサザなどの水面に葉を浮かべる浮葉植物、ヨシ・ガマなど浅場に生育する抽水植物といった、水辺に生育する植物の連続性および多様性を確保した健全な湖岸生態系の再生に関する研究開発も展開していく所存です。

資料

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